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マルチジョブホルダー制度の影響

2022年1月1日から雇用保険の「マルチジョブホルダー制度」がスタートしました。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000136389_00001.html

社会の変化とともに、「多様な働き方」の一つの形として複数の事業所で「兼業」「副業」することを想定して新設された制度です。

働く側はもちろんですが、雇用する側、とくにスモールオフィスにとっては、いざという時に慌てることがないように、仕組みをよく理解しておきたい制度と言えそうです。

これまでの雇用保険制度は、主たる事業所で、1週間の所定労働時間20時間以上かつ31日以上の雇用見込み等の適用要件を満たす場合に、加入対象となっていました。

これに対して、雇用保険マルチジョブホルダー制度は、複数の事業所で勤務する65歳以上の労働者が、そのうち2つの事業所での勤務を合計して以下の要件を満たす場合に、本人からハローワークに申出を行うことで、申出を行った日から特例的に雇用保険の被保険者(マルチ高年齢被保険者)になることができる制度です。

<適用要件>

・複数の事業所に雇用される65歳以上の労働者であること

・2つの事業所(1つの事業所における1週間の所定労働時間が5時間以上20時間未満)の労働時間を合計して1週間の所定労働時間が20時間以上であること

・2つの事業所のそれぞれの雇用見込みが31日以上であること

具体的なケースで見ていきましょう。

・Aさん(66歳)は、B社で65歳まで週所定労働時間25時間で働いており、雇用保険にも加入していました。

・その後、65歳から1年間、引き続きB社で働いていましたが、65歳から週の所定労働時間が15時間になったため、雇用保険から抜けていました。

・Aさんは66歳になったのを機に、新たに個人事業C事務所でも週10時間、アルバイトとして働く(1年更新)ことにしましたが、C事務所はこれまで週20時間以上働く従業員がいなかったため、事務所として雇用保険に加入していませんでした。

この場合、Aさんはマルチジョブホルダーです。そして、Aさんがハローワークに申出を行うことで、雇用保険の被保険者(マルチ高年齢被保険者)になることができますが、ここで問題になるのは、C事務所がこれまで雇用保険の適用事業所になっていなかったことです。

Aさんがマルチ高年齢被保険者になる要件を満たしているのに、C事務所が雇用保険の適用事業所になっていないことで、Aさんが雇用保険に加入できない場合、ハローワークからC事務所に雇用保険の適用事業所になるよう指導されることになっています。

マルチジョブホルダー制度は、パートタイマー、アルバイトなど短時間就労者を雇用する場合に注意が必要ですが、とりわけ、個人事業、小規模会社では、マルチジョブホルダーを雇用することで、週20時間以上の従業員がいなくても、事業所として雇用保険加入が必要になりますので、採用時には「兼業」「副業」の有無について確認するのが良さそうです。

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